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ねむぴょん

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ねむぴょん

 目まぐるしく変わる情勢。その中でアメリカは常にトップの座に君臨していた。世界の手綱を握っているのはアメリカ。アメリカ自身もその事を深く自覚し、日々の努力を怠らない。画期的な商品の発明、研究、開発。だが、最近どうにも1人でつっぱしている感がする、とアメリカは常々感じていた。やることなすこと巧く行かない。結果が悪い。気付いたら、他の国に追い越されている。気のせいだろうか。いや、気のせいじゃない。アメリカはいつも不安だった。せっかく上に立てたのに、いつか転落してしまうのではないかと。自分の存在が、誰よりも下になって、消えてしまうのではないかと。そうなる日の事を。そんなことを考えて、不安に怯えていた。ナンバーワンじゃなくちゃいけない。ずっとずっとナンバーワンを維持しなくては。アメリカは脅迫的に思い詰め、働いた。できることは何でもやった。そのおかげで体は疲れていた。
「アメリカくーん、おかえりなさい」
 へとへとになって家に帰ると、恋人のロシアが出迎えた。アメリカが最近忙しくてロシアに会いに行けずにいたら、ロシアの方から、なら同居しようと持ちかけ、今同居している。
「ロシア。ただいま」
 アメリカは嬉しかった。恋人の顔を見ると心が癒される。緊張で張りつめ、冷たくなっていた体が、途端に隅々まで解され、柔らかくなるというか。疲れていた体が嘘みたいに軽くなる。
 ロシアはアメリカを抱きしめた。彼の温かい体を肌に感じ、アメリカは幸せで、満ち足りた気持ちになった。つかの間の幸せである。
 ロシアの方も、大好きなアメリカを腕に抱いて、目映い愛の心地に胸躍らせて、感情の赴くままにアメリカの額にかかる髪を手で退けて、そこにキスを落とした。
 柔らかい息が額にかかると、アメリカはくすぐったくて笑った。ロシアは微笑みながらアメリカの顔にキスの雨を降らせて、アメリカの白い首筋に長く、深い口づけを落とした。
 アメリカは、ほう、と息を吐き、物欲しそうにロシアの顔を眺めた。
「アメリカ君……」ロシアは更にアメリカをきつく抱いて引き寄せた。距離が近くなると、二人、どちらともなく唇を合わせた。
 長いキス。一秒が何時間にも感じられるような。一瞬が切り取られたような甘い世界の中で愛を確認した。
「好きだよ。アメリカ君」
 アメリカはロシアの綺麗な紫色の瞳を見ながら、少しのぼせたようにぼんやりとして頷いた。俺だって、好きだぞ。スキ……。
「アメリカ君、今夜こそは、寝かせないからね」ロシアは何かを巧んでいるような、黒い微笑を浮かべ言った。
 アメリカはロシアの手によって、上着を脱がされた。寒くはなかった。暖炉に火を焚いているから。ロシアはアメリカのネクタイをほどいて、ワイシャツのボタンを上から一つづつ外していく。アメリカは目を半開きにして、その様子をぼけっと眺めていた。
「アメリカ君?」ふと、ロシアは手を止めて、アメリカに声をかけた。
 アメリカは、大きく瞬きする。
「眠いの?」
 アメリカは慌てて首を横に振った。ばれていないと思ったが、やはりばれていた。アメリカは、ばつが悪そうに下唇を噛んだ。実は、アメリカは家に帰って来たときから眠かったのだ。
「本当に? すごく……眠そうだけどなぁ……」ロシアは疑っているように苦笑いした。「この分じゃあ、今からベッドに入っても君はすぐに寝ちゃうんじゃない?」
「そんな、ことないぞ」ベッドと聞いて、アメリカが真っ先に想像したのは眠ることだった。
 だんだん眠気が酷くなってきた。瞼が重い。眠りたい。目を閉じたい。
「寝てもいいよ」とロシアは言った。彼がどういうつもりでその言葉を吐いたのか、アメリカは考えなかった。ただ言葉の通りに調子よく受け取った。
「いいのかい?」
「もちろん」
「ありがとうロシア。おやすみ」アメリカはロシアに感謝した。
 ロシアはただ笑って、おやすみ、と言った。
 アメリカは寝室に引き上げた。

 朝、アメリカが目を覚まして、仕事に行く支度をしていると、ロシアが何か物を言いたそうに横から見ていた。悩みを抱えているのか、表情を曇らせ、考え事をしているように眉を寄せ、かつ虚ろな顔である。アメリカはコーヒーの入ったマグを片手にロシアと向き合った。
「どうしたんだい、ロシア?」
 アメリカが尋ねると、ロシアははっとしたように目を広げた。
「え? ううん。なんでもないよ」
 ロシアは慌ててアメリカから視線を逸らす。そうして、別室に移動してしまった。アメリカは首を傾げ、時間になったので、仕事に向かった。ロシアの態度は少し気になったが、仕事で忙しくしているうちに、その件については忘れてしまった。
 仕事が終わったとき、外は暗く、町には灯りがともり、月が出ていた。今日も沢山仕事をこなし、疲れ果てた。アメリカは足がもつれそうになるほどへとへとだった。ため息ばかりでて、疲労のせいか、顎が震えている。早くロシアに会いたいとアメリカは思った。疲れた体を抱きしめて癒して貰いたい。ロシアには、アメリカを癒すパワーがある。
 アメリカはロシアの温もりを思い出しながら、早足に家に帰った。
「ただいまだぞ!」
 勢いよく玄関を開けると、電気はついているのに、部屋はしんと静まりかえっていた。アメリカは不思議に思った。いつも家に帰ればすぐに出迎えてくれるロシアがいない。
「ロシア?」
「あ、ごめん、ここだよ。おかえり」ロシアはリビングから出てきた。
 アメリカはホッとして、肩から力を抜いた。
「ほっぺ赤いよ。外、寒かった?」ロシアはアメリカの頬を温かい両手で挟み、そして、口づけた。
「少しね」キスが終わった後、アメリカは言った。
「そっか。大変だったね。今お湯沸かしている所だから、コーヒーでも飲む?」
 アメリカは首を横に振った。
「ありがとう。でも、いらないよ。なんだか、今日は疲れたんだぞ。お風呂に入って、すぐに寝たい気分だ」アメリカは眠気を耐えるように目をこする。
 ロシアの表情が少し曇る。
「アメリカ君」
「ん? どうしたんだい」
 ロシアはふと笑みを浮かべた。
「コーヒー、飲みなよ。体冷えているだろうし、温かい飲み物は体を暖めてくれるよ」
「そうかい? じゃあ、一杯だけ飲むぞ」
 ロシアは満足げに頷いた。
 コーヒーの豆の良い香り。飲むと苦味が口の中に広がる。
 温かい飲み物を飲んだ後、アメリカは体が毛布に包まれたみたいにぽかぽか暖かくなって、緊張がほぐれ、安心して、穏やかな気持ちになった。すると、頭が霞がかかったように白や黄色の霧に包まれ、瞼が重くなってきて、呼吸が深くなる。眠い、とアメリカは思った。
「お風呂、入って来なよ」
 微睡みに消えていきそうになった意識がロシアの声で覚醒する。
 アメリカはハッとして、ゆっくりとした動作でバスルームに向かった。さっさと体を洗って、眠ろう。アメリカは勢いよくシャワーを浴び、歯を磨いた。少し目が覚めてしまったが、どうせ、体は疲れたままだし、またすぐに眠くなる。アメリカは下着とシャツを身につけ、タオルで頭を拭きながらバスルームから出てきた。体から白い湯気が立っている。
「それじゃあ、ロシア、おやすみ」
 居間で椅子に座って本を読んでいたロシアにアメリカは就寝の挨拶をする。すると、ロシアは顔を上げて、本を取り落とした。
「あ」
 ロシアは自分で本を拾って、椅子の肘掛けの上に置いた。
「アメリカ君」ロシアは本に視線を落としたまま言った。「今日は寝ないで」
「え?」
「ううん。寝ても良いんだけど、もう少しだけ起きていて欲しいんだ。それで、僕との時間に付き合って」
「どうしたんだい、ロシア」
 困惑するアメリカをよそに、ロシアはアメリカに体当たりする勢いで飛びかかり、アメリカの体を両腕で抱き締めた。そして、唇を合わせて熱烈なキスを施した。それから、アメリカのシャツの中に手を潜り込ませ、肌をまさぐる。
「ろ、ロシア!?」アメリカは驚いて、身じろぎし、顔を赤くした。
 すると、ロシアは眉を下げ、泣きそうな顔になった。
「ごめんね。やっぱり駄目だよね。眠いよね」
 ロシアは諦めたようにしょげ返ると、あっさりとアメリカを放し、元座っていた椅子に戻り、そこに腰を落ち着けて、読みかけの本を開いた。そして、本を黙読し始めた。彼は眉を下げ、唇をかみしめ、苦しそうな顔で本を読むのだ。その姿が余りに惨めに、そして哀れに見えて、アメリカはたまらなく落ち着かない。そわそわとした焦燥を覚え、ロシアにかまってやりたいと思った。触れて、慰めてやりたい。
 ロシアはアメリカからの視線を頑なに避け、本の文字を目で追っている。
「ロシア」アメリカは言った。
 ぴくりとロシアの片耳が動く。アメリカは見逃さなかった。ぺろりと唇を舐め、乾いた唇に潤いを与える。
「したいのかい……? その、エッチ、を……」
 アメリカの言葉を聞いて、ロシアは勢いよく立ち上がった。
「したいよ!」ロシアは叫んだ。「でも、君が眠そうで、可哀想だから……っ」
 ロシアは苦しそうに顔を歪ませた。
 そんなに大事に思ってくれていたんだ……。アメリカは嬉しかった。
「じゃあ、しよう」

 二人で一緒にベッドに入った。布団をかぶり、ふかふかとした柔らかい枕の上に頭を乗せると、一日の疲れを一気に感じて、体が重くなった。アメリカは眠くて、目がしょぼしょぼした。だが、眠るわけには行かない。
「アメリカ君……」
 ロシアはアメリカの体を強く抱き締める。
 暖かい。ロシアの腕が、凄く居心地良い。このまま眠りたい。アメリカは目が閉じてしまわないように頑張って目を開けていた。ロシアはアメリカの髪をなでる。優しく、ゆっくりと。
「アメリカ君、眠い?」
 アメリカは首を横に振った。半分目を閉じていては、ばればれの嘘だったが。
「ごめんね」ロシアは申し訳なさそうに言うと、アメリカの額にキスをした。
 服を全部脱いで、裸で抱き合った。人肌の温もりだ。ああ、駄目だ、眠い……。アメリカはうつらうつらと、目を閉じたり、思い出して開けたりして微睡みの中を彷徨う。ロシアの体が暖かいからいけない。彼の体が氷のように冷たかったら、こんなに眠くなることもなかったのに。アメリカは徐々に瞼を下げ、ついには目を閉じた。目を開けている力を失ってしまったかのように、しばらく目を閉じたままだった。だが、アメリカはこのときまだ起きていた。目を閉じているが、起きていた。ロシアはアメリカが眠ってしまったと思った。

 ロシアは精一杯の力でアメリカを抱き締めた。
「やっぱり眠かったね。ごめんね。アメリカ君。無理をさせたね。でも、もう寝ても良いからね。僕のことは気にしないで。君が気持ちよくいられれば、それでいいからね……」

 俺のバカ。なんで眠くなるんだい。
 仕事が落ち着いたら、償いをしよう。アメリカは意識の底に落ちていく途中で思った。
 

 おわり。

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プロフィール

HN:
capla
性別:
女性
自己紹介:
アメリカと呼ぶより、アルフレッドと呼ぶのが好き。
自分の書く作品が下手糞すぎて泣けてきまして、恥ずかしさから作品倉庫なる秘密基地を作成しました。ぱちぱち。ホームページは難しくて作れず、ブログです。しかし、ブログもなかなか難しい。半日も費やしてしまいました。(汗)

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